北村絵梨子(きたむら えりこ)

管理栄養士
給食会社において、1500通りに及ぶ献立を創り上げた経験と、学生時代より探求し続けた栄養学の知識を活かして、栄養学に関するセミナー講師として活躍中。
健康な社員作りは企業を繁栄させる、という想いを元に、単なる知識の提供だけではなく、病気にならないための指針を示し、社員の行動を自発的に変える働きかけで、成果に繋げている。
また個別の栄養指導を通して、体だけでなく心の健康の基盤も整えるカウンセリングを行うことで、栄養学という観点から社員育成に貢献している。

管理栄養士として研修講師活動をされている、北村絵梨子さんにお話しをお伺いしました。
栄養指導と聞くと、敷居が高いように感じる方もいらっしゃるでしょう。
しかし、インタビューをさせていただいた実感としては、社員を持つ経営者であれば、ぜひとも知っておきたい健康に関する概念が多いと感じました。
社員が健康を維持できれば、企業も組織も必ず育つ、という強い信念をお持の絵梨子さん。
食を通して、多くの企業の実態を見てこられたからこその、説得力と自信に溢れたお話しです。

インタビュワー 株式会社hug マネジメント 北村壮一郎

栄養学に夢中になり、学んだ中で気づいた自分の強み

北村:
絵梨子さんは、栄養学のセミナーを企業に対して行ってらっしゃるとお伺いしました。

絵梨子さん:
私は管理栄養士の資格を持っております。
それを活かして、企業向けの栄養学のセミナーや研修を行っております。

北村:
管理栄養士というと、一般的には企業の宅配弁当や給食の献立を立案するイメージがありました。

絵梨子さん:
もちろんそれも管理栄養士の業務です。
実際私も、宅配弁当の会社で5年間勤めました。
お客様にお召し上がりいただく、献立を考えていました、365日、全部違うメニューで。

北村:
それは、大変な労力がかかるお仕事じゃないですか、毎日全部違うメニューって?

絵梨子さん:
はい、ただ考えれば良いだけではなく、栄養バランスも踏まえての献立作りですから、管理栄養士の真骨頂とも言えますね。
特に私は季節の食材を使ったりと、こだわるところはこだわりましたので、なおさらです。

北村:
家庭を預かる主婦以上に、知力、体力を使うことをされてきたのですね(笑)
現在ご活動されている、企業に対する栄養学のセミナー講師の詳細は後程お伺いするとして、管理栄養士になられたきっかけを教えてくださいますか?

絵梨子さん:
私が高校2年生の時に、家庭科の授業で調理学の勉強をしました。
米が飯に変わるメカニズムの話だったのですが、とてもその行程が面白いなと感じたのです。
それで、他の栄養素の話など、学問として食べ物や調理を捉えた時に、あぁ、私はこれを学ぶのが好きだと感じたのですね。

北村:
普通は料理するのが好きと、多くの女性はおっしゃいますよね?
そうではなかったと?

絵梨子さん:
料理番組もよく見ていたのですが、料理は作らず、専ら見るのが専門でした(笑)
そこから、将来の進路を決める際に、大学で栄養学科というのがあることを知るんです。
私はそのような過程を辿ってきているので、正直な所、管理栄養士を知ったのは、随分後になってからなんですよ。

北村:
このような栄養学を学ぶこと自体、どんなことが楽しかったのですか?

絵梨子さん:
食材のことや、栄養のこと、全て知識が蓄積され、増えていくことはとても楽しかったです。
具体的に何が楽しかったのかは、あまり言葉にならないですね。

栄養指導の現場を知り、人のお役に立てることを体感する

北村:
この頃は研修講師になろう、なんて思っておられなかったですよね?

絵梨子さん:
そうですね。
大学生の時に、パワーポイントで資料を作成して、ゼミで発表の場があったんです。
その時に、発表のやり方を見て、先生が褒めてくださったことはありましたが、まだ管理栄養士が、どのように将来のキャリアに結びつくかは想像できませんでした。
管理栄養士という資格を、ただ学ぶことの延長から、仕事として捉えだしたのは、栄養指導の現場に実習に行ったことが大きなきっかけです。

北村:
この栄養指導というのは?

絵梨子さん:
例えば、病院で、糖尿病の患者に、食べ方の改善を促していく1対1のカウンセリングのようなものとお考えください。

北村:
あぁ、それでイメージできます。

絵梨子さん:
皆さん、お悩みをお抱えなんですね。
ですから、栄養指導をすることで、話を聞いてもらえてすっきりしたとか、笑顔になって帰っていかれるんですね。
その現場を見て、管理栄養士ができることの幅の広さを実感したんです。
ただ指導するだけではなく、お相手の変化も感じられることがいいなぁ、と。

北村:
最初は管理栄養士の資格すら知らなかったのが、だんだんと未来が開けていくイメージが出来ますね。

絵梨子さん:
はい、ありがとうございます。
その後、助手として大学に1年残り、経験を積みました。
そして、冒頭でお話しをしました、給食会社に就職することになりました。

北村:
最初は管理栄養士の資格すら知らなかったのが、だんだんと未来が開けていくイメージが出来ますね。

絵梨子さん:
はい、ありがとうございます。
その後、助手として大学に1年残り、経験を積みました。
そして、冒頭でお話しをしました、給食会社に就職することになりました。

北村:
そこからは、ひたすら宅配弁当の献立を考える日々ということですね?

絵梨子さん:
ひたすら考えましたが、仕事はそれだけでもないんです。
生産工場を持っておりましたから、衛生管理であったり、あるいは食材の発注など、ビジネス視点が鍛えられる日々でもありました。

北村:
献立を考えるだけではないのですね。

絵梨子さん:
献立も、ただ考えれば良いというわけではなく、もちろん企業ですから原価を考え、利益率も追及しなければなりませんでした。
いわばマネジメントですね。
毎年の食材の原価の高騰には頭を悩ませましたが、それで見た目が劣るのも、お客様からすれば、残念と言うか、知ったことではないですよね?

北村:
確かに。
美味しく食べれるものは、見た目も鮮やかですものね。

絵梨子さん:
色はとても重要な要素なので、こだわり抜いたつもりです。
このことは、お客様からお褒めの言葉もいただきました。

北村:
この会社で勤められた5年間で、最も大変だったことは何ですか?

絵梨子さん:
大学を卒業して、まだ社会経験も浅い女性が現場の管理をするわけですから、自分より年上やキャリアのある社員の方々に対してのコミュニケーションスキルは、鍛えられたと感じています。

講師業への転換。あまり前例のない道を敢えて選んだこと

北村:
年上のかたとのコミュニケーションのやり方に悩むかたは多いので、きっとそのご経験は企業研修でも役立ちそうですね。
では、もう少しお尋ねさせてください。
現場でも必要とされ、管理栄養士の資格を活かした仕事をされていたにも関わらず、ガラリと方向変換して、セミナー講師としての活路を見出されたのは、どうしてですか?

絵梨子さん:
はい、管理栄養士の私なのに、人前で話せば結構話せるじゃない、と根拠のない、大きな勘違いをしたことが最初のきっかけですね(笑)

北村:
先ほど、大学時代のゼミで、先生に褒められた、というお話しがありましたね。

絵梨子さん:
それまでは、むしろ人前で話すのは苦手に感じていたのですが、あのきっかけが最初に私の背中を押してくれた出来事でした。
それまで多くの知識を身に着けるのが楽しかったので、必然的に量も質も豊富な情報を提供できたのだと思います。
それが、聞き手にわかりやすく感じていただける要因だったのかもしれませんね。

北村:
セミナー講師としての基盤が培われたのですね。

絵梨子さん:
ただ、私は最初からセミナー講師を目指していたのではなく、どちらかと言えばフリーランスとして活動したいという想いが強かったのですね。
それは同じく先ほどお伝えしました、栄養指導の活動がしたい、という想いが根底にあったことです。
そこでその想いを実現すべく、自身のキャリアを積んでいくために、会社員から個人事業主へと転身し、活動し始めました。その時に念願の栄養指導の機会に恵まれたのです。

北村:
その時に感想はいかがでしたか?

絵梨子さん:
栄養指導以上に、個人事業主で活動し始めると、プレゼンテーションの機会や、発表の場をこなすようになっていたんです。
そこで感じたのです。
やはり、私は人前で話すのがうまいなぁ、と(笑)

北村:
セミナー講師、絵梨子先生の誕生の瞬間ですね。
では、この企業に対する栄養学の研修、あるいは栄養指導ということにフォーカスをしてお話しをお伺いしていきます。
この栄養指導については、実際活動されてみて、いかがですか?

絵梨子さん:
企業にとって社員の存在は、全ての原動力。
ですから、健康であることが当たり前のように実現していなければなりません。
しかし、実際は健康を蔑ろにしていて、病気になってしまったり、そもそも健康でいることに無頓着なかたもたくさん見受けられるんです。
ですが、ご多用な中でわざわざ時間を割いて来てくださっているのですから、何か有益なことを一つでも持って帰っていただきたいと願っているのですが、その裁量が社員の方々、それぞれ求めているものが違うので、そこがいつも気を使うポイントです。

北村:
確かに、健康は大事とわかっていても、いざ栄養指導と言われると、身構えてしまったり、自分には関係ないと高を括る人がいるかもしれませんね。
そういう方々には、どのようなことを気を付けておられるのでしょうか?

絵梨子さん:
特に男性社員の方々はそういう傾向にあるのですが、皆さんは健康のことにおいても、結果を求めておられるんですよ。
ですから、結果が出るために、今日からすぐにできるようなことや、シンプルで簡単なことをお伝えするようにしています。

北村:
知識だけの習得では、意味のないことですもんね。

絵梨子さん:
栄養指導と言っても、栄養に関することを詳しくお伝えするのではなくて、日常レベルに落とし込んだお話しをするように心がけています。
例えば、運動をしなければならない、ということを理解してくださったかたが、じゃあ、僕は自転車が買いたいから、ということで自転車でのエクササイズをご提案したんです。
その次に栄養指導でお会いさせていただいた時は、既に自転車を購入されて、色々なところへ出かけるきっかけになり、人生が楽しく好転している、と喜んでいただけました。
私のアドバイスがきっかけで、そのかたの人生が健康的に変わっていく、というのは、とても嬉しいことですね。

社員が病気にならない企業の体制を作るのが経営者の役割

北村:
そのようなご指導もされるわけですね。
その他、企業研修では、主にどのようなご指導をされているのですか?

絵梨子さん:
はい。
健康になることの、その根底にあるのは、やはり食べ物が大きく影響を与えています。
食べ物の食べ方や、選び方。
例えば、男性で独身や単身赴任のかただと、外食が多くなりますよね?
すると、日々の健康を考えれば、メニューの選び方も意識していくべきなんです。
主婦のかたなら、家族の献立を考える時の、食材の選び方。
これらが全て、病気にならない体を作る予防に繋がるのです。

北村:
そうですね。
企業にとっては、売上をあげることやコスト削減すること以上に、社員が病気にならない体作りは、蔑ろにはできない部分ですね。

絵梨子さん:
今、企業で問題になっているのは、人材が育たないことや、社員がすぐに辞めてしまう、離職率の問題などです。
解決方法は色々とあると思いますが、間違いなく言えることは、社員が健康でい続ければ、当然結果を残すのも早くなるでしょうし、組織力も強くなるでしょう。
私は管理栄養士という立場から、この問題に果敢に取り組みたい、という溢れんばかりの気持ちがあります。

北村:
絵梨子さんのされる研修は、心身ともに健全な社員の方々の働く環境づくりのための研修、というところでしょうか。

絵梨子さん:
病気になってから動いていては、時間的にも、お金もかかるんです。
企業の生産性を考えれば、経営者の方々には、もっと着目いただきたい点ですね。

北村:
では最後になりますが、今後企業に研修をしていかれるケースが多くなると思います。
今の研修の形を、さらにどのように発展させていかれたいとお考えでしょうか?

絵梨子さん:
栄養学を通して、より多くの形で企業の成長にお役にたてれば、と思っています。
栄養指導は、社員の方々の食事指導だけでなく、心の悩みの問題や、社内における理想の自分を描いていただくなど、カウンセリング形式で対話ができればと考えています。
研修も知識を知っていただく、それを形にしていく、悩みを聞き出していく、といったパートに分かれます。
総合的なサポート体制で、企業にご指名をいただくような講師を目指していきたいと思います。

北村:
元々管理栄養士ながら、管理栄養士の資格に留まらずに自由な視点で活動をされてきたのですから、今後も企業のニーズにあわせたご活躍が期待できそうですね。
本日はありがとうございました。

北村絵梨子(きたむら えりこ)
管理栄養士
給食会社において、1500通りに及ぶ献立を創り上げた経験と、学生時代より探求し続けた栄養学の知識を活かして、栄養学に関するセミナー講師として活躍中。
健康な社員作りは企業を繁栄させる、という想いを元に、単なる知識の提供だけではなく、病気にならないための指針を示し、社員の行動を自発的に変える働きかけで、成果に繋げている。
また個別の栄養指導を通して、体だけでなく心の健康の基盤も整えるカウンセリングを行うことで、栄養学という観点から社員育成に貢献している。