笛吹和代(うすい かずよ)

Woman Lifestage Support 代表。
臨床検査技師や化粧品メーカーの商品開発部門で微⽣物を専門として従事 その後、予防不妊、健康管理、衛⽣管理 など、働く⼥性の健康に関する啓蒙活動を⾏う。
⾃⾝の不妊治療の経験を活かし、不妊カウンセリングやワークショップなど、⼥性社員のES 向上に繋がる研修活動 を展開。
個人の活動に留まらず、妊活⼥性⽀援チーム「Woman Life Support」の代表としても、活躍中。

臨床検査技師の国家資格を持ち、検診の現場でのご経験や、⼥性の多い化粧品メーカーでの製品開発も担われた笛吹和代さん。
ご⾃⾝が不妊治療のため、後ろ髪を引かれる想いで退職された実体験から、現在は⾏政からの依頼や、個別依頼を受けて企業で働く⼥性に向けて妊活⼥性のセミナーやカウンセリングなど、⼥性社員のワークキャリアをサポートする活動を担われています。
男性の目線からは⾒えてこない、⼥性ならではの細かな視点と解決策に、未来の企業のあるべき姿のヒントがたくさん潜んでそうです。
⼥性社員の悩みの解決が、企業の発展に繋がるという視点で、インタビューをさせていただきました。

インタビュワー 株式会社hug マネジメント 北村壮一郎

北村:
笛吹さんは、妊活についての研修事業をされているとのこと。
同じような活動をされている講師さまは多いのですか︖
笛吹さん:
講師の数はいらっしゃるのですが、私のように講師業専業で活動してらっしゃるかたは少ないと感じています。
北村:
専業は少ないとはいえ、それほどに妊活についての需要があるのですね。
笛吹さん:
実際のところ、私が話すのは妊活の話だけではなく、⼥性の健康管理や衛⽣管理など幅広く健康や⾝体の分野に関するお話もさせていただきます。
北村:
どのような方からのご依頼があるのですか︖
笛吹さん:
⼀番は、お仕事をされている⼥性⾃⾝からの個別のお問い合わせです。
それ以外には、⾏政様や鍼灸師団体や漢方薬局様などからも講座のご依頼をお受けしています。
個別のお悩みは様々ですが、仕事と治療の両⽴に悩まれる方は少なくありません。また、どのように話せば男性上司に理解してもらえるのか︖と悩んでご相談に来られる方もいらっしゃいます。
⾏政様の依頼では、不妊治療の基本的なお話しや、治療のステップアップやそれらのタイミングなどご要望にあわせて幅広くお話しさせて頂いています。治療のステップや治療期間を把握することは仕事と治療の両⽴においては必要な知識になってきます。
鍼灸師の方や漢方薬局など専門家向けにお話しをさせて頂くこともあります。
北村:
このような講師業を始められたきっかけは︖
笛吹さん:
前職を不妊治療で退職した、という私⾃⾝の経験が⼤きなきっかけです。
退職してから7 年になりますが、⼀部企業は⽀援に対して理解を深めてきたとは⾔え、同じように不妊で悩み、仕事を続けることが困難になったり、上司の理解が得れずに困惑している⼥性はたくさんいらっしゃることに気づきました。
北村:
ご⾃⾝がご経験されたからこそ、理解できる⼥性社員特有の悩みがあるということですね。
笛吹さん:
はい。経営者の方々の多くは、奥様の妊娠を経験されてはいますが、ずっと会社で働いておられたら、⼥性の妊娠に関することのお悩みなどは、中々わかりにくい点だと思います。
それが、会社全体の理解度の薄さに繋がっているような気がいたします。
北村:
不妊治療のことは巷でも⽿にします。
我々男性には、芯まで理解できないことですが、実際にはお悩みの⼥性が多い、ということですね。
笛吹さん:
あるNPO 法人が1 年ほどかけて調査されたデータでは、仕事と不妊治療の両⽴に悩む⼥性は8割から9割を占めるという結果が出ています。
そのうちの半数近くがなんらかの形で仕事を変えるか、契約形態の変更などを強いられている、その結果、⾃分のキャリアを閉ざされてしまう⼥性が多いという事実があります。
また16%は退職を余技されているという事もニュースで取り上げられていました。
北村:
ということは、不妊治療に取り組む⼥性社員がキャリアを閉ざさなくても、会社のバックアップ体制があることで仕事を継続できる環境を作っていかれたいということですね。
具体的にはどのように研修を進められるのですか︖
笛吹さん:
妊活とか不妊治療の基礎的な情報をお伝えすることはもちろんですが、当事者が妊活計画を⾃分⾃⾝で組めるようになるところまでをお伝えしております。
妊活計画を⽴てる理由ですが、企業にも事業計画に基づいた組織計画などがありますから、現実的に計画がないと⽀援を求めることも難しいと思うのです。
男性経営者に理解していただくためには、病院に⾔われるがままではなく、当事者の意思を反映させることが⼤事だと考えています。
北村:
妊活されている⼥性社員も、人任せ、病院任せにしないということですね。
経営者に対しても研修は⾏われるのですか︖
笛吹さん:
当事者である妊活の⼥性社員の悩みを改善する為の研修はもちろんのこと、そして経営者や管理職の方に不妊に関する理解を深めて頂く研修。これら2つの研修を並⾏して⾏っていきたいと考えています。
その結果として、離職率が下がる企業を増やしていきたいと考えています。
上場しているような有名企業はこういった活動に積極的ですが、それらは離職率の低下や、安定した求人採⽤率など、⼥性に⽀持される企業ならではのメリットも表れてきています。
北村:
笛吹さんは元々、妊活については詳しい知識はおありだったのですか︖
笛吹さん:
キャリアの最初は、臨床検査技師という国家資格を保持して、検診会社や検査センターで検診の業務に就いておりました。
その後、製薬会社で3 年、更には化粧品メーカーで6 年勤めました。
化粧品メーカーでは、商品開発部門に在籍しましたので、微⽣物の研究なども⾏い、経験を積ませていただきました。
不妊に関する事を仕事にしようと決めた時点で、不妊カウンセリング学会に所属し、認定カウンセラーの資格も取得しています。
北村:
現場で検査技師として病気に向き合っておられたということ、化粧品会社で商品開発の経験を通して、⼥性の健康に向き合ってこられたのですね。
笛吹さん:
そうですね、そして、それらの経験と知識を元に社内研修業務を担わせていただいてたんです。
教育訓練責任者として毎月200 名ほどの社内教育を担当しておりました。
人数が多いので、どうすれば皆さんが理解してくれるか、わかりやすく伝えられるかを追及し、毎月のように資料を⾃分で作ってましたので、その経験はそのままセミナー講師として活かせているのではないかと思います。
北村:
その後、不妊治療のために退職されることになりますね。
笛吹さん:
私の場合、幸いなことに不妊治療が⾝を結び、息⼦を出産しました。
そして、1 年半ほどで再び臨床検査技師の資格を⽣かして健診⾞の業務を担うことになったのですが、検診を受けにこられる方々の意識が、10 年前とさほど変わっていないことに気づきました。
健診を受けるから健康になるわけではないのですが、健診を受けることだけで満足してしまっているような現状に違和感を覚えたのです。
それであれば、まずは現場の意識レベルを変えていかなければ、と感じたので、⼥性の健康に関する講座をスタートさせました。
北村:
実際、妊活を含めた⼥性の健康に関する研修を始められて、いかがでしたか︖
笛吹さん:
最初は特に問題はなかったのですが、講師業を進めるにつれて、企業や⾏政に対して、よりわかりやすく、実感していただけるような研修の提供、ということが⼤きなテーマになりました。
ですので、現在は研修を⾏うことはもちろんですが、企業内にこういったことを相談できる窓⼝を作れるよう、社内でのカウンセラーの育成にも⼒を⼊れていきたいと考えております。
北村:
今後の研修活動の展望についてもお聞かせください。
笛吹さん:
私⾃⾝が化粧品会社にいたということもあり、⼥性の社員が多い企業には、積極的にご採⽤いただきたいと願っています。
特にお客様の美や健康を前⾯に掲げる企業は、まずは⾃社の⼥性社員の意識向上が、良質な製品やサービスの供給に繋がると思います。
また、⼥性のキャリア⽀援を⾏われている人事会社や人材教育会社にも、ぜひ着目いただければ幸いです。
北村:
最後に、多くの⼥性社員を抱える企業の男性経営者にも⼀⾔いただければと思います。
笛吹さん:
男性には芯までの理解が難しいのは私も重々理解しているのですが、やはり⼥性の妊娠ということについて、真摯に向き合っていただれば、多くの⼥性社員のロイヤリティも⾼まると思います。
⼥性は年齢や体調にも左右され、いつでも出産できるわけではないということ。
もちろん、企業の⼤切な事業計画もあるかと思いますが、環境のせいか、年々出産をすることが難しくなっている時代の変化も感じていただけると、妊活のことを扱う研修講師としても、⼀⼥性としても⼤変嬉しく感じます。
北村:
⼀人の⼥性社員を⼤切にすることが、会社の発展に繋がるのは間違いないですものね。
最後に、笛吹さんがチームで活動されている、「ウーマンライフサポート」についてもお聞かせください。
笛吹さん:
最初は妊活を⽀援したいというメンバーが集まったのですが、⽀援する対象は妊活だけではなく、出産して⼦育てしてと、⻑きに渡り求められていることに気づきました。
具体的には、不妊治療して授かった⼥性は、年齢が著しく離れて授かるケースが多いです。
その結果、育児コミュニティーに⼊れなかったり情報がなかったりと、様々な問題が出てくるので、孤⽴しがちなんです。
⼩さなことが、やがて産後のうつや、家族不和にも繋がりかねない。
これらをサポートすべく、管理栄養⼠、薬剤師、看護師、助産師、ファイナンシャルプランナーと⾔った各分野のプロフェッショナルから直接アドバイスが聞けたり、講座やワークショップの開催など、⼤々的な活動はこれからですが、メンバー間で構想を練っています。
北村:
今⽇は男性という⽴場では考えさせられ、また学びになる⼀⽇でした。
笛吹さん:
男性の理解あってこその、妊活であり、⼥性社員のキャリアアップに繋がりますので、私も可能な限り多くの企業にこのことを伝えていけるよう、がんばりたいと思います。
笛吹和代(うすい かずよ)
Woman Lifestage Support 代表。
臨床検査技師や化粧品メーカーの商品開発部門で微⽣物を専門として従事 その後、予防不妊、健康管理、衛⽣管理 など、働く⼥性の健康に関する啓蒙活動を⾏う。
⾃⾝の不妊治療の経験を活かし、不妊カウンセリングやワークショップなど、⼥性社員のES 向上に繋がる研修活動 を展開。
個人の活動に留まらず、妊活⼥性⽀援チーム「Woman Life Support」の代表としても、活躍中。